28-Apr-2020

ベトナムの祝日

皆さんはベトナムの祝日にどういった日があるかご存知ですか?

 

暮らしていると平日でも午前中からビールを飲んでいたり、ハンモックに揺られているのを目にしたりと

のんびりとした雰囲気がある為、さぞかし休日も多いのではと考える方も多いかと思います。

2020年現在ベトナムの祝日は年間6回、計10日ほどでアジア諸国の中でもその数が少ない国なのです。

それぞれの日がベトナム人にとってどういった意味合い(歴史的背景など)を持つのか祝日ごとに知っておくのも

その国で暮らしていく上で大切なことではないでしょうか。

長期間外国からの侵略など歴史が関係した祝日も多く、日本以上に祝日に対する気持ちが強い印象を受けます。

今回は実際にどのような日があり、どのように過ごすのかをご紹介できればと思います。


 

▼元旦 1月1日

日本と同様新暦の新年最初の日です。ベトナムを含めアジアの国の多くは旧暦の正月を祝う文化が今でも続いており、新暦の正月はあっけなく終わります。クリスマス前から「Merry Christmas and Happy New Year」の垂れ幕などを掲げて少しながらお祝いムードがありますが、後ほど紹介する「テト(旧正月)はもうすぐだ!」といった心の準備の期間といっても過言ではないでしょう。また市内ではお祝いの花火が上がり一目見ようと夜は賑やかな印象です。また、企業によっては休みのところもありますが、商業施設、観光地などは通常通り営業しているところがほとんどです。


 

▼テト(旧正月)

ベトナム人にとって最大級の行事はテト(旧正月)。日本やその他諸外国が盛大に祝う新暦(1年を365日とする太陽暦)ではなく、中国、シンガポール、マレーシアなど東・東南アジアの国が祝う旧暦(1年を364日とする太陰暦)を祝います。旧暦により毎年祝日が変動するのが特徴で例年1月21日から2月20日の間にテトが来ます。祝日自体は5日間ですが、長いと2〜3週間の長期休暇をとる人も居たりします。家族との繋がりが強いベトナム人にとって普段家族と離れて暮らす人などが唯一長期休みが取れて愛する家族との時間を過ごせる祝日となります。ベトナムは長い間中国の支配下にあった歴史があり、期間中キンカンの木や梅の木(北部では桃の木)を玄関に飾ったり、赤と金色の鮮やかな装飾が街中にあったりといたるところで中国文化を強く感じます。日本で言うお歳暮をテト前に家族や日頃お世話になっている方へ送る文化があったり、会社や友人への挨拶回りもあり、年末感を感じられるひとときです。旧暦の元日にはLì Xì(リー シー)と呼ばれるお年玉を渡したり、お正月ならではのゲームを楽しんだりします。食事は各地違った正月料理もありますが共通してBánh Chưng(ベトナムのちまき)を食べます。


 

▼フン王の命日 旧暦3月10日

2007年に制定された新しい祝日。18代に渡りベトナム東北部フートー省にてベトナム最初の国家(バンラン国)を納めたフン王の命日を祀る日で、建国のために尽力したフン王功績を称える日でもあります。毎年旧暦3月10日にフートー省フン寺にて獅子舞や音楽演奏、線香をあげる崇拝儀式が行われています。この儀式は何千年もの間ベトナム人に受け継がれ、ベトナムの文化を象徴するだけでなく、国民の結束を強めることで知られている。このためフン王の崇拝儀式は2012年にユネスコ無形文化遺産に登録されている。


 

▼南部解放記念日 4月30日

4月30日は、南部解放の日。

第二次世界大戦後長きに渡り南北が分断されていたベトナムが1975年のこの日に統一されました。1973年のアメリカ軍の全面撤退を機に1975年3月より北ベトナムによる全面攻撃が開始されました。中部から南部に向かって主要都市を陥落させていく北ベトナムにアメリカ軍の大規模な軍事支援が途絶えた南ベトナムは抵抗ができなかった。4月30の朝、ズォン・バン・ミン大統領により無条件降伏が宣言された後、午前11:30に北ベトナム軍の戦車が大統領官邸(現在の統一会堂)に突入し南ベトナムは崩壊し「サイゴン(南部)解放」となった。この日は舞台となったホーチミン市や首都ハノイなどの大都市で記念式典やイベントが開催されますが共産党主導のイベントとなる為、あまり娯楽性は高くなく南北の統一を祝うものとされております。一方この日は終戦後国外へ逃れた人々には「サイゴン喪失の日」とも言われています。北ベトナム支持者には歓喜の日ですが、南側の人々にとっては悲しみの日、敗北を目の当たりにした日でもあるのです。戦後40年以上経ち、戦争を知らない世代が増えてきていますが、この日は複雑な心境の人もいることを知っておくべきでしょう。


 

▼メーデー 5月1日

メーデーは1886年5月1日に長時間労働が当たり前だったアメリカで人生を豊かにする為に労働者達が「第1の8時間は労働のために、第2の8時間は休息のために、そして最後の8時間は自分たちの好きなことのために」とスローガンを掲げストライキを行ったことが起源とされています。現在も労働者の祭典とされ世界の80ヶ国以上で祝日に制定されている。メーデーのことをレーバーデーとも呼ぶ国もあり、労働環境への要求のみならず労働者の休養と捉える側面もあります。自身の職場環境や働き方を考えるいい機会にしてみてはいかがでしょうか。


 

▼建国記念日 9月2日

1945年、ホー・チ・ミン主席がフランスからの独立を宣言した日です。アメリカの独立宣言やフランスの人権宣言を引用し読まれた文中には「日本のファシストがインドシナを侵略」「フランスは私たちを保護するどころか、5年の間に2回も私たちの国を日本に売った」「私たち民族は、フランスの手からではなく日本の手からベトナムを取り戻した」と度々日本の文字が並び、日本人にとっても戦時中の歴史的背景で関係の強い日でもあるのです。この日はTVで当時の映像や写真などが放送される一方、一般の方にとっては年内最後の祝日となるので盛大に遊ぶ方も大勢です。

 

 

いかがだったでしょうか?

ベトナムの祝日は数が少ないですが、それぞれ歴史的意味合いが強いものも多く

筆者もこれから来る祝日はこれらのことを少しでも想い出せる日にしていきたいと思います。

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